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最近の精神医学史
著者: 神谷美恵子1
所属機関: 1国立療養所長島愛生園精神科
ページ範囲:P.849 - P.851
文献購入ページに移動 Zilboorg, G. が大著"A History of Medical Psychology"5)を著わしてから,すでに四半世紀になろうとしている。歴史というものは,つねにある時間的距離をおいてながめなければ,こみいつた事象の流れの全貌を,かたよりなく見きわめたものとはなりえないにしても,この24年の問には,だれの眼にも明らかな,きまざまの変化が精神医学自体のなかにも,また社会における精神医学のありかたのうえにも,起こつてきている。そのうえ,精神医学史的意識もめざめてきて,精神医学史というものの意義について,その性質について,その方法論について,論議されることが以前よりずつと多くなつてきた。これを精神医学における歴史哲学の出現とよんでみてもよい。そのためでもあろう,精神医学教育の一環として,精神医学史が,大学教育のいろいろなレベルで,とりいれられるようになつてきた。
以上のような事態にうながされて,戦後になつてから精神医学史に関する書きものが少なからず現われてきた。それらはZilboorgの仕事を,はるかに高い密度で補い,訂正するものである。そうした精神医学史自体の歴史,およびその歴史哲学については他に述べたので3),ここでは最近の精神医学史のおもな単行本を,それも1960年代に英,独,仏語で出版されたものにかぎつて紹介したいと思う。
以上のような事態にうながされて,戦後になつてから精神医学史に関する書きものが少なからず現われてきた。それらはZilboorgの仕事を,はるかに高い密度で補い,訂正するものである。そうした精神医学史自体の歴史,およびその歴史哲学については他に述べたので3),ここでは最近の精神医学史のおもな単行本を,それも1960年代に英,独,仏語で出版されたものにかぎつて紹介したいと思う。
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