文献詳細
研究と報告
精神分裂病の家族面接による環境,とくに幼少期の環境の研究—ヒステリーとの比較
著者: 阿部正1 山田隆久1 大嶺繁二1
所属機関: 1慶応大学医学部神経科心身症センター
ページ範囲:P.37 - P.47
文献概要
精神分裂病の発病について,生育環境を重視したのは,Freud以来Sullivanにいたる精神分析派の人たちであるが,1〜5才までの精神的外傷体験を重視した。それ以来,分裂病患者の家族研究がLidz, R. W. & Lidz, T.12),Lidz, T. ら13)Reichard, S. & Tillman, O14),Wahl, C. W.16)17),Gerard, D. & Siegel, G.10)その他により行なわれた。
阿部は昭和24年(1949)ごろより分裂病患者を面接により反応性のものと内因性のものとに区別しようとこころみたが,面接してみるとほとんどすべて反応性と考えられた。その後分裂病の精神療法を行ない理論的考察1)2)5)6)をし,集中反応の立場をとるようになつた。分裂病の幼時期については昭和33年(1958)3)に岡本正夫とともに14例について発表し,前掲文献6)の299頁にも述べたが,今回はその後の症例を中心に詳細に論じ,ヒステリーの症例のそれと比較し,両者の症状形成理論にもふれる。
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