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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

Fluphenazine enanthateの臨床経験—生活療法との併用の見地よりみた評価

著者: 三浦岱栄1 伊藤斉1 鈴木恵晴1 三浦貞則1 八木剛平1 松井紀和2

所属機関: 1慶大神経科教室 2日下部病院

ページ範囲:P.855 - P.865

I.はしがき
 Fluphenazine enanthateは米国のThe SquibbInstitute for Medical Research, Division of OLINMATHIESON CHEMICAL CORPORATIONにおいて開発された新しいタイプのmajor tranquilizerであり,その特色は長期持続性効果を期待しうるいわばDepotとも称すべきものである。その化学構造の母体はfluphenazineであるが,従来より使用されているfluphenazine(dihydrochlorideまたはmaleate)より分子の大きいenanthic acid(heptanoic acid)のesterになつたもので,難水溶性,易油溶性である性質上sesame oil(胡麻油)に溶解せしめた注射薬のかたちをとつている。ちなみにその化学構造は第1図のとおりである。
 薬理実験において,動物の条件回避反応や,apomorphineの催吐作用その他に対する抑制効果がfluphenazineに比較していちじるしく長期持続性であることが証明され6),さらにKinross-Wright3)7)その他による臨床予備実験がこころみられた結果,fluphenazineの経口剤と本質的に同じく強力な抗精神病作用を有し,さらに効果が持続性であるため,いわゆるDepotとしてほぼ2週間に1回の注射施行により満足すべき結果が期待されることが観察された。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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