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文献詳細

雑誌文献

精神医学8巻11号

1966年11月発行

文献概要

特集 宗教と精神医学 第63回日本精神神経学会総会シンポジウ厶

地域社会からみた精神障害者の宗教分布とその信仰体制,ならびに宗教が精神障害者に与える影響について

著者: 桑原公男1 鈴木弘雄1

所属機関: 1沼津精神病院

ページ範囲:P.884 - P.889

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I.はじめに
 日本人の宗教的特徴として,その多様性と,重層性があげられる。そしてわれわれの社会には,宗教的伝承といわれている種々な宗教的いとなみが存在し,われわれ日木人はダイナミックな行動の面において,種々の影響を受けている。疎外状況に囲まれているわれわれは,創造的な主体をつくり出すための自己主張の結果,宗教のもつ宗我の本態を見誤りがちであり,直接的暗示にさらされている非合理的傾向にはしりやすい。Grensted1)は,被暗示性の統御のできいかんにより成人的生活の成否が定まると述べている。一方,現代の思想の流れは宗教のもつ不寛容性を可能なかぎり縮少して,人類のための対話を人間に要求している。James2)は宗教現象をいたずらに変態あるいは病的として,さげすむことをしないで,人間精神の生けるがままをとらえようとする方法と努力を示している。われわれもすなおにこの考えに従うものであるが,同時に宗教が人間生活の究極的な意味を明らかにするところのまじめな社会的態度である以上軽信に対しては厳しい態度をとりたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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