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特集 宗教と精神医学 第63回日本精神神経学会総会シンポジウ厶
指定討論
著者: 荻野恒一1
所属機関: 1南山大
ページ範囲:P.895 - P.896
文献購入ページに移動それにもかかわらず,八瀬の報告したKANとよばれる独特の類宗教現象にきわめて類似の現象が,東ニューギニア高地における伝統的文化として存在しているのである。すなわち私がかつて報告したように1),たとえば束ニューギニア高地チンブー地方のクマ族の人たちも,アニミズム的思考,死者崇拝,祖先霊の実在信仰を有しており,さらにかれらのうちに妖術師がいて,部落内の高い地位を占めており,部落民たちは,たとえば落雷,洪水などのときには,この妖術師に呪文をとなえてもらい,また近親者の死亡のときには,妖術師の託宜にもとついて,祖先の霊に神聖なる豚の血を捧げるのである。また妖術師は「耳で聞くことのできない言葉」によつて死者と交通することができ,あるいは降神術を行ない,その憑依状態において死者の言葉を語ることができる。さらに妖術師は,まじないによつて(似面非)医術をも行ないうるのである。
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