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特集 宗教と精神医学 第63回日本精神神経学会総会シンポジウ厶
北方原始民族のシャーマニズムについて
著者: 中川秀三1 長野俊光1 石橋幹雄1 佐々木幸雄1 大江覚1
所属機関: 1札幌医科大学神経精神医学教室
ページ範囲:P.897 - P.900
文献購入ページに移動北方諸民族は,文化変容によつて,民族固有の特質的文化や,純血を失い,順応者は,田園風土を嫌つて大都会に定位したりあるいは,部族の風俗を売物とした観光事業を生業とするなど,近代社会に融和しているが,反面には部落に残された集団成員は,保守的な伝統思考的傾向をもち,閉鎖的な村落を形成している。
部落には,いぜんとして,伝承的な呪術的行動様式や,「祟り」「憑き」などのcustomary beliefおよびshamanの憑依状態を中核とするmagico-religiousな信仰儀礼,あるいは古老の神祭儀式などが残留しており,animismやanthropomorphismに根ざした土俗的伝承的な共同体の確信状況を背景に,密教的性格をおびた呪術的宗教行事がしばしば行なわれている。
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