icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学8巻11号

1966年11月発行

特集 宗教と精神医学

第63回日本精神神経学会総会シンポジウ厶

離人体験と宗教信仰

著者: 土居健郎1

所属機関: 1聖路加国際病院精神科

ページ範囲:P.908 - P.910

文献概要

I.宗教の心理的意味
 歴史的社会はすべてなんらかの宗教を中心として発生してきたといわれる。すなわち宗教は社会を形成する各人を結びつける靱帯の役割をはたしてきたのであつて,古来の成人式が宗教的意義を有しているのはこのためである。しかし現代のように社会が宗教的思想的に複雑かつ混乱しているときには,子どもが成人して社会人となる過程において,宗教は表立つた役割を演じてはいない。それでも宗教的心理は潜在的にそこにはたらいているのであつて,ときには積極的に宗教を求める者もいるほどである。これら積極的求道者は宗教によつて精神的危機をのりきろうとする。しかし危機に破れれば,なんらかの精神障害を経験せねばならない。以下に記す症例Tは,診断的には分裂病圏内に属すると考えられるが,求道の過程で発病し,かつ求道の完成によつて治癒している点,上述の観点を裏書きしていると思われるのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら