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文献詳細

雑誌文献

精神医学8巻12号

1966年12月発行

文献概要

特集 うつ病の臨床 第63回日本精神神経学会総会シンポジウム

指定討論

著者: 猪瀬正1

所属機関: 1横浜市大神経科

ページ範囲:P.973 - P.974

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 内因性精神病のMorbusの存在を信ずると信ぜざるとにかかわりなく,精神科医は,「うつ病」あるいは「内因性うつ病という病名を用いている。そして,そのような臨床の場面で,"正しい"あるいは適切な診断がくだされるか否かで,患者の治療と経過が大きく左右されることも,日常しばしば経験するところである。したがつて,精神科医として,「うつ病」をいかに診断するかは,きわめて重要な意味をもっというべきである。
 考えてみると,診断基準をきめるということは,どのようなことであろうか。これこれの症状が揃えば分裂病,あるいは「うつ病」であるというふうに決められるものであろうか。分裂病の診断におけるK. Schneiderの第1級症状の意義を考えるならば,思い半ばに過ぎるであろう。第1級症状を示さない分裂病はいくらでもあるからである。そうすると,「基準」という言葉には,症状の「箇条書き的なもの」をこえたもの(それがきわめて重要なものと思われるのであるが)が含まれていなければならない。演者の佐野博士は,「うつ病」の内因性,外因性や心因の限界づけ——結局うつ病の診断は,診断する人の「世界観」によるといわれたが,それは恣意にまかせるほかないという意味ではないと考える。内因性精神病の診断には,特異な身体所見の欠如を前提とするし,もっぱら精神病像と経過によるものである以上,そのような困難を伴うことは,やむをえないともいえるであろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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