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研究と報告
Imipramine(Tofranil)が著効を奏した周期性傾眠症を合併せる難治てんかんの2例
著者: 八島祐子1 高谷雄三1 尾野成治1
所属機関: 1福島県立医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.1025 - P.1029
文献購入ページに移動従来使用されてきたbarbitur酸誘導体,hydantoin誘導体やpyrimidine dione誘導体などの一連の抗てんかん剤を駆使しても,なお効果の得られない難治てんかんの治療に対して,最近,種々の強力な抗てんかん剤が発見され研究が進められているが,一方,向精神薬として一般にもちいられている薬剤のなかにてんかん発作や性格変化などに著効を奏する薬剤が認められている1)。dimethylamino-propyl-imino-dibenzyleすなわち,imipramineは1957年にRoland Kuhnが抗うつ剤としてその特性を発表して以来,広く抑うつ状態の治療にもちいられている薬物である3)。また,ナルコレプシーや脱力発作などに対しても著効を奏するという報告6)8)9)があり,本剤は臨床的にもまた病態生理学的にもその作用機転に関し,さらに究明の余地がある薬剤と考えられる。われわれは種々の抗てんかん剤をもちいて改善のみられなかつた症例に対してimipramineを使用して著効を得たのでつぎに報告する。
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