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文献詳細

雑誌文献

精神医学8巻2号

1966年02月発行

文献概要

展望

集団精神療法の発展と現況

著者: 池田由子1

所属機関: 1国立精神衛生研究所

ページ範囲:P.91 - P.104

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I.まえがき
By the crowd have they been broken,By the crowd they shall be healed
(Cody Marsh)
 集団の力を用いて人のこころをいやすことは,はるか昔から行なわれていた。また原始社会にあつてはその治療が宗教と結びついて,家族ぐるみ,部族ぐるみという集団のかたちをとりやすいことも,人類学の文献に見ることである。しかし,集団精神療法が近代医療の一体系としてのあゆみを始めたのは,わずか半世紀前のことにすぎない。それはいまなお,さまざまの質問を自らに投げかけながら,流動し,発展しつつある治療と研究の若い科学である。
 集団精神療法の展望という課題に対して,私は私自身いままでに書かれているような客観的,図式的な一文をとうてい書くことができないことはよく知つている。なぜなら私は集団精神療法に対して投げかけられた質問の多くにまだ十分答えられるだけの経験もないし,私が集団精神療法に接した経験はまだあまりに近く,生々しいからである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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