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研究と報告
精神安定剤,催眠剤の薬物依存に関する臨床統計的研究—とくに身体依存成立にあずかる要因について
著者: 加藤正明1 高橋伸忠1 宮川建平1 田内堅二1 藤田栄一1 鈴木正1 今田芳枝2
所属機関: 1東京医科大学神経科 2国立精神衛生研究所
ページ範囲:P.119 - P.128
文献購入ページに移動精神安定剤や非バルビツール酸系催眠剤の進歩にはめざましいものがあり,とくに精神神経科領域の治療に大きな寄与をしている。しかし反面,ここ数年間の外来および入院患者の統計を見ると,こうした薬の濫用の結果,医療を求めて来院する患者の数は年とともに増加している(第4表)。その受診理由を見ると,いわゆる「睡眠薬遊び」による反社会的行動が問題になつているもの,こうした遊びから習慣性を得てなかなか薬をやめることができなくなつてしまつたもの,量はさほど大量ではないが長期間にわたつて薬物を使用しつづけ,まつたく薬に依存しきつているもの,はては驚くほどの大量を使用して,その結果禁断時にけいれん,せん妄といつた重篤な禁断時症状を示したものなど,さまざまな理由から受診してきている。こうした現状からわが国でも薬物濫用に関する数多くの報告がなされるようになつた。しかしそのほとんどが症例報告を主体としたものであつて,数多くの症例について心理的,社会的,身体的な側面から綜合的な検討を加えたものはない。そこで今回われわれは,こうした薬物濫用の現状を広くとらえ,その各要因を探り,治療上の参考にするだけでなく,すぐれた効果をもつこうした薬物を,正しく使用するにはいかなる点に留意すべきかを知るために,今回の全国調査を計画した。
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