icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学8巻2号

1966年02月発行

文献概要

研究と報告

精神病院における病棟管理形態の治療的意義について—閉鎖および開放管理の入院患者に与える影響

著者: 柴原堯1 井口芳雄1

所属機関: 1京都府立洛南病院

ページ範囲:P.135 - P.139

文献購入ページに移動
 洛南病院における入院患者の管理形態である閉鎖開放管理の病棟について,その心理学的風土,ことに対人接触の濃度の落差について,症例をあげ,それに対する患者の反応について考察した。
 (1)閉鎖—開放管理により象徴される病棟内雰囲気の差異は主として対人接触の面において現われ,閉鎖病棟において長期間入院生活をつづけていた患者は,その単調な風土,稀薄な対人接触.に慣れ,開放病棟に移動すると急速に心的水準の相対的低下を示し,集団に適応しえず,容易に再燃状態を示す。
 (2)このような患者の病像の変化は,閉鎖—開放病棟における対人接触の濃度の落差が大きいほど著明に出現する。
 (3)したがつて再燃,病像の悪化を防ぎ,患者の社会復帰,退院を促進するためには患者の開放病棟への移動にさいして患者の社会的水準について十分な考慮がなされるとともに,それぞれの病棟間の対人接触の濃度の差異をできるだけ少なくするように考慮がはらわれねばならない。
 (4)精神病院における病棟管理にあたつては,病棟に心理学的な多様性をもたすため,少なくとも3〜4個の病棟を開設する必要があり,また最終段階の開放病棟においてはその心理学的風土をできるだけ一般社会に近づける必要があると考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら