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文献詳細

雑誌文献

精神医学8巻5号

1966年05月発行

研究と報告

Huntington舞踏病の精神症状について—2剖検例に関しての考察

著者: 松本胖1 十束支朗1 緑川隆1

所属機関: 1千葉大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.397 - P.402

文献概要

I.はじめに
 Huntington舞踏病は,不随意性の舞踏病運動,進行性の痴呆,遺伝因子の存在および病理解剖上基底核を主座とする神経細胞の変性脱落などにより特徴づけられている1)3)。しかしまれには,幻覚,妄想などの精神分裂病類似の症状をていするものがあり,精神医学的にも興味のあるところである。他方,これまで病理組織学的検索はしばしば詳細になされている3)4)5)11)が,本疾患に特有な性格変化ないし病的症状に関する臨床病理学的な考察にいたつてはきわめて少ない。このことは,すべての器質的疾患についてもいえることであるが,はたしてそれぞれの疾患における病的精神症状を個々の脳病変によつて十分説明しうるかという方法論上の命題にぶつからざるをえない。
 このように究極的には非常な難問題に到達するのであるが,それ以前の段階において,Huntington舞踏病をも含む変性疾患に見られる精神症状について,なおいつそう注目する必要があると考える。著者らは,幻聴,妄想をていした症例を含むHuntington舞踏病の2例を経験したのでその精神症状に着目して文献的に考察し,この方面の研究に寄与したいと考える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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