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文献詳細

雑誌文献

精神医学8巻6号

1966年06月発行

特集 薬物と精神療法

第2回日本精神病理・精神療法学会シンポジウム

指定討論

著者: 下坂幸三1

所属機関: 1順天堂大医学部精神科

ページ範囲:P.453 - P.455

文献概要

 演者の講演のなかでは,薬物精神療法がその眼目をなしていると恩われますので,このことについて討論いたしたいと存じます。
 西園先生は薬は精神療法を促進するものだとして,積極的に併用する立場をとられるといわれます。しかし実情はかならずしもこのような明瞭な自覚をもつて薬物が投与されてはいません。薬で煙幕を張る,薬でときをかせぐ,薬を仲介にしてなんとか通院だけはつづけてもらおうとするといつた,あまり立派とはいえない動機から薬物を与えることも確かにある。しかしこのような動機も,いちがいに悪いとすることはできないようです。たとえば私はある神経症者に対して,こちらがくたびれて治療意欲を失いかけたとき,薬にしばらく肩代わりをしてもらい,こちらの態勢を整えなおして,ふたたび意欲的に精神療法をすすめることができたこともあります。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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