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文献詳細

雑誌文献

精神医学8巻6号

1966年06月発行

文献概要

研究と報告

TPN 12の使用経験

著者: 島薗安雄1 風間興基1 田中恒孝1 岡一朗1 道下忠蔵2

所属機関: 1金沢大学医学部神経精神医学教室 2十全病院

ページ範囲:P.501 - P.508

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I.まえがき
 最近10年あまりにおける向精神薬の発達はめざましく,なかでもphenothiazine誘導体からは数多くの薬剤が開発され,治療に供されている。phenothiazine誘導体のなかでも,とくにdimethylamino誘導体のなかにはすぐれた薬剤が多い。これに反してpiperidine誘導体は一般に副作用が強く,効果が比較的弱いため現在のところthioridazineのみが使われているにすぎない。
 “TPN 12”すなわち3-methylsulphonyl-10-(2′-(N-methylpiperidil-2")-ethyl-1')-phenothiazineはサンド薬品株式会社で新しく開発されたpiperidine誘導体で,第1図に示すようにスルフォン側鎖をもつ,thioridazineの酸化物である。本剤の薬理学的特性についてみると,ラットの感情的排便の抑制作用はthioridazineと同程度に強く,マウスの運動活性に対する抑制すなわち自発性を抑制する作用やアンフェタミンによる機能亢進を抑制する作用はthioridazineの2〜3倍強力で,ラットのカタレプシー効果はchlorpromazineより弱くthioridazineより強力である。またマウスに対する麻酔の相乗作用やモルモットにおけるアドレナリン遮断作用もthioridazineの約2倍強力である。毒性についてみると,ラットに対するLD 50はthioridazineの約1.5倍である。このように“TPN12”は抗情動作用および運動抑制作用が強いのが特長である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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