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文献詳細

雑誌文献

精神医学8巻7号

1966年07月発行

文献概要

特集 精神医療体系のなかでの精神病院の位置づけ 精神病院の機能とその限界 第63回日本精神神経学会総会シンポジウム

医療チーム(医師)の役割と限界—再入院に関する社会的要因をめぐつて

著者: 島崎敏樹1 榎本稔1

所属機関: 1東京医科歯科大学神経科

ページ範囲:P.540 - P.542

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I.はじめに
 精神分裂病者の再入院は,従来,生物学的・疾病学的再発悪化とのみ考えられてきたが,向精神薬の開発発展は分裂病者の寛解状態を十分に保持しうるまでに進歩してきた。しかしながら,現在分裂病者が再入院をくりかえし,また再入院の不安にさらされていることは,日常の臨床においてしばしば経験することである。入院中心の治療から外来通院治療へと変化しつつある現在,再入院を予防するには(第1図参照)最低限,服薬と外来通院の励行を確立する必要がある。まずそれには治療に対する動機づけと態度形成がなされねばならない1),そして医療チームのはたらきかけが態度形成に大きく作用しており,これを受けいれる病者の病態像,社会的背景,さらに家族の構成,人間関係,社会経済的地位,病に対する認識・態度も不可欠の要因である。また職場復帰や就職にさいしては,職場の理解や受けいれ態勢,作業現場のことまで考慮せねばならない。地域社会の認識・態度も無視できない要因である。これらの諸要因が交錯して作用し,病者を服薬と外来通院から遠ざけもし,また近づけもするのである。
 われわれは,第9回病院精神医学懇話会で,対照群として,第1回のみの入院で退院後5年以上経過した者を家庭訪問調査した結果を発表した2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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