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特集 精神医療体系のなかでの精神病院の位置づけ 精神病院の機能とその限界 第63回日本精神神経学会総会シンポジウム
民間指定病院で扱える精神障害者の範囲
著者: 関英馬1 奥山清一1 志村豁1 成田茂1 岡田正勝2
所属機関: 1昭和大学付属烏山病院 2昭和大学医学部神経科教室
ページ範囲:P.555 - P.558
文献購入ページに移動上記の主題に関して,われわれは,扱いにくい精神障害者を,官公立精神病院におしつけようとする意図をもつているわけではない。
しかし,第1表のように,全国清神病院の実体を見ると,その病床数の80%を、民間精神病院が占めている現状。また第2表に示すように,東京都を例にとつても,民間指定病院の指定病床率が63%でありながら,官公立病院では42%にすぎず,収容率こそ88%でほぼ同率ではあるが,官公立の指定病床率が大幅に少ないことは,なにか割り切れない気持を禁じえない。
われわれ民問精神病院でも,指定病院である以上は,どんな扱いにくい患者でも治療の対象になるならば,なんら異議を申し述べる必要はない。しかし,精神病質,酒精中毒,薬物嗜癖,精神薄弱,その他の精神障害者のなかで,累犯傾向があり,反社会的問題行動を惹起する患者の処遇問題,および重症精神薄弱にまつわる問題に関して,民間指定病院としての限界を感ずるにいたつている。地域差,病院の性格などにより,多少の差はあろうが,当院に措置入院した患者のうち治療の対象とするには疑問をもたざるをえないような者を,分類整理し,分析をこころみ,その問題点を提示してみた。
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