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文献詳細

雑誌文献

精神医学8巻7号

1966年07月発行

研究と報告

新しい抗うつ剤Thymeolの使用経験

著者: 島薗安雄1 松田幹1

所属機関: 1金沢大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.595 - P.601

文献概要

I.はじめに
 1957年R. Kuhn5)によつてimipramineの特異的な抗うつ効果が報告されて以来,電撃療法や持続睡眠療法に頼るほかなかつた旧来の抑うつ状態の治療にいちじるしい変革がもたらされた。抑うつ状態の薬物療法はその後の多くの研究によつてさらに発展をとげ,こんにちではimipramineに類似したいくっかの感情調整剤(Thymoleptica)やMAO阻害剤などが開発されている。それらの一つにデンマークのH. Lundbeck社において合成されたmelitracen,9-(γ-dimethylaminopropyliden)-10,10-dimethyl-9,10-dihydroanthracen(hydrochloride),Thymeolがある。本剤は第1図のごとく,化学構造上imipramnine,amitriptylineに類似し,薬理学的作用においてもこれらのものによく似ていることが明らかにされている2)。われわれは武田薬品工業株式会社より本剤の提供を受け,臨床的に試用する機会を得たので,その結果をここに報告する。
 なお対象患者の観察にあたつては,新しいこころみとして,病状の変化の時間的推移を,主として臨床的な立場からできるだけわかりやすく表現できるrating scaleを使用した。これによつて経過を追求し,治療過程の動態的把握を行ない,薬剤の臨床的性格を究明する一助とした。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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