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特集 内因性精神病の疾病論 第63回日本精神神経学会総会シンポジウム
症状と経過からみた分裂病の類型
著者: 黒沢良介1
所属機関: 1三重大学医学部精神科
ページ範囲:P.22 - P.28
文献購入ページに移動I.はじめに
内因性精神病の疾病論―とくに分裂病を中心としてという題で述べるときにはまず立場を明らかにしておく必要があるであろう。一般的にいつて,素質と環境,身体と精神,もう少し具体的にいうと分裂病の原因として,SomatogeneseとPsychogeneseは古くからくりかえし,現在もなおさかんに論ぜられているところである。とくに精神分裂病の精神療法が重要視され,一般化してきたとき,分裂病のPsychogeneseが問題の焦点になつているのである。しかしこれをいたずらにここにとりあげることはなんら実りあるものとはいえない。この間題を論ずるときには誰でも引用するであろうPsychiatrie der Gegenwart中のWyrschの論文,M. Bleulerの1941年から1950年までの,Benedettiらのそれ以後のSchizophrenielehreのSammelreferatをみても,分裂病疾病論解決へのいとぐちを与えてはいない。究局のところはやはり,症状と経過を忠実にみることより出発しなければならない。これはおそらくすべての精神科医が行なつてきたことであり,それこそいまさらくりかえして行なつても無益なことであると思われたが,概括的な報告は意外に少ない。
内因性精神病の疾病論―とくに分裂病を中心としてという題で述べるときにはまず立場を明らかにしておく必要があるであろう。一般的にいつて,素質と環境,身体と精神,もう少し具体的にいうと分裂病の原因として,SomatogeneseとPsychogeneseは古くからくりかえし,現在もなおさかんに論ぜられているところである。とくに精神分裂病の精神療法が重要視され,一般化してきたとき,分裂病のPsychogeneseが問題の焦点になつているのである。しかしこれをいたずらにここにとりあげることはなんら実りあるものとはいえない。この間題を論ずるときには誰でも引用するであろうPsychiatrie der Gegenwart中のWyrschの論文,M. Bleulerの1941年から1950年までの,Benedettiらのそれ以後のSchizophrenielehreのSammelreferatをみても,分裂病疾病論解決へのいとぐちを与えてはいない。究局のところはやはり,症状と経過を忠実にみることより出発しなければならない。これはおそらくすべての精神科医が行なつてきたことであり,それこそいまさらくりかえして行なつても無益なことであると思われたが,概括的な報告は意外に少ない。
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