文献詳細
回顧と経験 わが歩みし精神医学の道・7
印象に残る人々—E. KretschmerとC. v. Economoと野口英世を中心にして
著者: 内村祐之12
所属機関: 1東京大学 2日本学士院
ページ範囲:P.69 - P.76
文献概要
ミュンヘンに到着して間もなく,一番手近にあるスターンベルグという湖を訪れたとき,湖岸から,ほど近い葦(あし)の茂みの中に,粗末な十字架が立ち,それに古びた花環が掛けられているのを見た。そして,これこそ,かつてのババリア国王Ludwig Ⅱと,王に侍した精神科医Guddenが,共に水死した地点だと聞いて,感慨を催したことを覚えている。Guddenは,当時のミュンヘン大学の精神科教授として令名をうたわれた学者で,Kraepelinもかつては彼の門弟であつた。
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