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研究と報告
Propericiazine(Neuleptil)大量投与による陳旧分裂病の治療—臨床効果と生体におよぼす影響
著者: 西園昌久1 吉田寿彦1 住田豊治1 西田博文1 山内万寿美2
所属機関: 1九州大学医学部神経精神医学教室 2井口病院
ページ範囲:P.935 - P.941
文献購入ページに移動精神分裂病に向精神薬療法を行なう場合,どの程度の量を使うのがもつとも適当であるかは問題のあるところである。一般的傾向として,大量におよぶことには批判的な意見が増加してきている。それは,ある種の向精神薬が期待する効果をあげない場合,だらだらと増量されるだけでほかに適切な治療がなされないことがあること,向精神薬療法は長期におよぶものであるので生体への影響が大量になればいつそう考えられることなどからの批判で,そのかぎりでは正しいことである。向精神薬の臨床効果は,目標症状,作用の個人差,心理的状況などの諸因子が影響しあつて現われるもので,薬量だけをあげればよいものではない。しかし,実際にはなんの根拠もなしに中途はんぱな量が使われていることが多いのを見聞する。そのような理由から,われわれは十分な薬量を使うことが必要であると考えている。十分な量というのは,ある効果がそれ以上増量してもたかまらないという限界の量をさして,副作用の点からも許容範囲のものであつて,むやみと患者を薬づけにすることではない。わが国の向精神薬の臨床効果についての報告を見ても,薬量については諸外国の報告をうのみにしたものが多いが,諸外国の報告についてもその根拠が必ずしも十分とはいえないものが多い。われわれは十分の量を使つて,初めてその薬物の特徴がつかめると考えている。たとえば,levomepromazineは抗うつ作用は早くから認められていたのに,精神分裂病に対しては,わが国でも,ヨーロッパでもほとんどかえりみられなかつた。
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