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文献詳細

雑誌文献

精神医学9巻12号

1967年12月発行

文献概要

動き

薬物依存者に対するSynanonの活動

著者: 大原健士郎1

所属機関: 1慈恵会医科大学精神神経科教室

ページ範囲:P.959 - P.963

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Synanonに対する予備知識
 薬物依存者の問題はこんにちのアメリカにおいても切実なものがあり,折にふれて大きな波紋を各界に投じている。アメリカとくにカリフォルニアにおいて,薬物依存者にアプローチする特異的な動きにSynanonがある。Synanonに対してはいまだに賛否両論があり,この組織に対する学問的な裏づけも確立したものとはいいがたい。しかし,Synanonが次々と薬物依存者を社会復帰させている現状をみるとき,精神科医にとつて,とかく治療困難な疾患の一つである薬物依存へのアプローチの方法は,学ぶべきものがあろうと考えた。Synanonに対する代表的な批判の一つはDonald Louria1)によつてつぎのように述べられている。「Synanonがすぐれた組織であるとする主張に3つの問題点がある。第1に,治療を受けようとする者は治療形式を受け入れるために動機づけされていなければならない。これは,治療計画から薬物依存者の大多数を除外することになる。しかも,治療を受け入れようとする人たちですら途中で放棄し,その半数は治療半ばにして立ち去つている。第2に,治療環境があまりにも厳しいことである。会員は,権威主義礼賛ともいうべき環境内で生活し,働いている。これは治療の対象をさらに限定する。第3のもつとも大切な点は治療効果が非常に低いことである。……」
 Synanon刊行のパンフレットはこの批判をよそに,その存在価値をつぎのように主張している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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