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文献詳細

雑誌文献

精神医学9巻2号

1967年02月発行

文献概要

特集 精神分裂病の診断基準—とくに“Praecoxgefühl”について 第63回日本精神神経学会総会シンポジウム

Praecoxgefuhlと分裂病症状

著者: 井上晴雄1

所属機関: 1東京医科歯科大学神経科

ページ範囲:P.86 - P.90

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 分裂病を診断する場合,分裂性体験がごくわずかでも完全な的確さをもつて,「分裂病」と診断できる場合がある。ここにはたらいているのは,verwortenしたり,verbalisiererlしたりできない"Praecoxgefühl"である。このPraecoxgefühlについては、Rümke, H C. 6)が提唱して以来,Müller-Suur, H. 3),Irle, G. 1).Spoerri, T. H. 8),Priori, R5)らによつて論じられているが,このような診断方法はすでに以前からとりあげられていたことである。Binswanger, L. は,明確な症状がほとんど発見されない場合,疾病の存在を直観的に確信する診断を"Gefühlsdiagnose"といい,Schneider, K. は,病者の徴細な表出まで読みとる瞬間診断を"Anhiebsdiagnose"といい,Minkowski, E. は,理性による診断に対して,感情による診断diagnostic par sentiment(洞察による診断diagnostic par penétration)を重視し,この診断方法も他のすべての方法と同じように,長期の経験によつて習得されねばならないとしている。越賀は,認識能力は概念的な学問にもちいられるような理性のみでなく,感情というすぐれた直観力によつて発揮されるのであつて,日ごろの臨床において,われわれが精神病者という具体的な一人の人間を理解しようとするときのもつともすぐれた一つの方法である,と主張している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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