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研究と報告
分裂病欠損家族の精神医学的研究(その2)—力動的接近から
著者: 玉井幸子12
所属機関: 1慶応義塾大学医学部神経科 2東京武蔵野病院
ページ範囲:P.189 - P.199
文献購入ページに移動Ⅰ.まえがき
(その1)でわれわれは,現在,わが国の精神病院に入院している分裂病者の家族の父母欠損率,欠損の内容,欠損の時期,欠損の補足のされかたについて報告した。実はこのこころみは,われわれの精神医学的家族研究本来の接近方法である力動的接近の準備を整える意義をもつている。なぜならば,力動的接近は個々の症例に莫大な時間と努力をついやして詳細な知見をもたらすintensiveな研究方法であるが,その反面,どうしても研究対象は量的,数的にかぎられたものであり,ともすると偏つた資料を微視的に分析し全体的な見通しを見失うおそれもなきにしもあらずである。
このような配慮から,まず統計的な接近を行なつた。一方で,筆者は慶大神経科式の力動的家族研究の方法を適用して分裂病欠損家族への力動的接近をこころみた。この力動的接近は①個人精神療法,②家族テスト,③家旋而接,④Ackermannの統合的家族診断方法,からなつている。したがつてそれは本来intensiveなcase studyの積みかさねという手続きから成り立つているが,さらにこの接近法を某本としたつぎのようないくつかの研究がこころみられている。
(その1)でわれわれは,現在,わが国の精神病院に入院している分裂病者の家族の父母欠損率,欠損の内容,欠損の時期,欠損の補足のされかたについて報告した。実はこのこころみは,われわれの精神医学的家族研究本来の接近方法である力動的接近の準備を整える意義をもつている。なぜならば,力動的接近は個々の症例に莫大な時間と努力をついやして詳細な知見をもたらすintensiveな研究方法であるが,その反面,どうしても研究対象は量的,数的にかぎられたものであり,ともすると偏つた資料を微視的に分析し全体的な見通しを見失うおそれもなきにしもあらずである。
このような配慮から,まず統計的な接近を行なつた。一方で,筆者は慶大神経科式の力動的家族研究の方法を適用して分裂病欠損家族への力動的接近をこころみた。この力動的接近は①個人精神療法,②家族テスト,③家旋而接,④Ackermannの統合的家族診断方法,からなつている。したがつてそれは本来intensiveなcase studyの積みかさねという手続きから成り立つているが,さらにこの接近法を某本としたつぎのようないくつかの研究がこころみられている。
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