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特集 精神療法における治癒機転 第63回日本精神神経学会総会シンポジウム
指定討論
著者: 白石英雄1
所属機関: 1三重県立高茶屋病院
ページ範囲:P.253 - P.254
文献購入ページに移動演者は「自我の統合」(これは欧米的な意味)や「没我—自我の滅却」(これは仏教的な意味),そして「意識・無意識」(これは分析学的な意味)といつた言葉をもちいて述べられました。そのために私のほうには定義上の混乱が生じて困惑しました。その一方,もしかすると演者にも上述の用語の理解に徹底を欠いておられるのではないかと感じました。たとえば「自我の統合ということのなかには,また自我を滅却しうるというはたらきがなければならぬ」と述べておられますが,推測で申しわけないですけど演者はお気持の底において,欧米的な意味での自我の統合と仏教的な意味での自我の滅却とはいくぶん相反する心の動向だと思つておられるのではないかと見受けました。私はごく通常の意味で「成熟した自我の統合は自我の滅却という面をもつものである」と考えております。
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