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特集 精神療法における治癒機転 第63回日本精神神経学会総会シンポジウム
治癒機転と罪悪感
著者: 安永浩1
所属機関: 1東京大学医学部分院神経科
ページ範囲:P.281 - P.285
文献購入ページに移動 司会者のご出題である「精神療法治癒機転の共通項……」のうち,はからずも「倫理」的な方面を代表するようなかたちになりましたが,もちろんこれだけが治癒機転である,などと申すつもりはありません。また,本格的な道徳の問題については,Feuer, L. S,やFromm, E. の労作がありますけれども,きようはもつと端的,平凡に,治療的罪悪感の問題に焦点をあててみたかったのであります。したがつてはなはだかぎられておりますが,べつな意味では普遍的なものにつながるようでもあります。書きあげてみますとあたりまえのことだつたような気がしまして恐縮ですが,私自身にとつてはこれが一つの悟りにはなつておりまして,実地にさいしての心組みがだいぶ楽になつたのであります。
一つのエピソードで始めさせていただきたいと思います。私が医者になつてまだまもないころと記憶しておりますが,先輩から聞かされた話でありまして,また聞きのまた聞き,といった話ですので,事実は確かでありませんが,要旨はつぎのようなものでした。
一つのエピソードで始めさせていただきたいと思います。私が医者になつてまだまもないころと記憶しておりますが,先輩から聞かされた話でありまして,また聞きのまた聞き,といった話ですので,事実は確かでありませんが,要旨はつぎのようなものでした。
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