文献詳細
特集 創造と表現の病理
第63回日本精神神経学会総会シンポジウム Ⅱ部・病跡
文献概要
I.はじめに
20世紀前半の西欧文学史において顕著な現象の一つは,いわゆる“意識の流れ”を克明に描き出そうとする小説が,いくつも現われたことであつた16)。この新作風の有力な推進者としてProustやJoyceらとともに世界的に認められているのがVirginia Woolf(1882〜1941)である。
彼女の人と作品についての研究は内外に多数あるが,それはほとんどすべて文学的見地からのものであつて,この作家に精神障害があつたらしいことは,生前から憶測されていたにもかかわらず,病跡的研究は,筆者の知るかぎり,まだ行なわれていない。
20世紀前半の西欧文学史において顕著な現象の一つは,いわゆる“意識の流れ”を克明に描き出そうとする小説が,いくつも現われたことであつた16)。この新作風の有力な推進者としてProustやJoyceらとともに世界的に認められているのがVirginia Woolf(1882〜1941)である。
彼女の人と作品についての研究は内外に多数あるが,それはほとんどすべて文学的見地からのものであつて,この作家に精神障害があつたらしいことは,生前から憶測されていたにもかかわらず,病跡的研究は,筆者の知るかぎり,まだ行なわれていない。
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