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文献概要

資料

てんかん者の自動車運転免許の問題—国際てんかん協会シンポジウム(1965)から

著者: 和田豊治1

所属機関: 1東北大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.429 - P.437

はじめに
 交通災害の問題が深刻さを加えてきた昨今,あれよあれよというまもなく,自動車免許証交付に精神障害の有無記載の診断書提出という法的規制がついに実施されるにいたつた。このことはなにはともあれ,交通対策の一環として前進であり,当然実施されるべき筋のものとして迎えられてしかるべきである。しかし問題はその実施術式であり,それに対す準備・検討である。いかに法治国家とはいえ,これでは一方交通であろう。事実,われわれを始めとし,多くの医師は混乱に投げこまれてしまつた。一日も早くみな混乱から脱しなければなるまい。
 さて,狭義精神病者の自動車運転の問題は案外,自他ともに規制が守られやすい。問題は精神病質を中心とする中毒性障害と,いまひとつはてんかんであろう。事実,後者については筆者にも診断規準,脳波上の診断手技や限界を聞きただす質問などが届いている。しかしそれについて即答できる者がはたしてあるであろうか。そこで,それについて検討する糧として,本資料を提供することを思いたつたしだいである。それは本資料がただ単なる報告ではなく,目前につるされた現実の問題として受け取られると思われるからである。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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