文献詳細
文献概要
研究と報告
老年期におけるアルコール依存者—家庭内緊張を中心として
著者: 大原健士郎1 奥田裕洪1 小島洋1 有安孝義2
所属機関: 1慈恵会医科大学精神神経科教室 2総武病院
ページ範囲:P.572 - P.576
文献購入ページに移動本来,嗜好品としての性質をもつアルコールが,ある者に,Trunksucht,addictionを生じ,ある者にはchronischer Alkoholismus,chronic alcoholismを生ずる。この両者は,互いに移行する場合も多いが,どちらかの状態にとどまる場合もまれではない。ここで,きわめて素朴な観察をくだすとき,機会的に適度の飲酒をたしなむ者,習慣的な飲酒者であるが精神的にも身体的にも障害を示さない者,さらにはアルコールを断つことができず,そのうえ,精神的にも身体的にも著明な障害を示す者など,質的にも量的にも異なると思われるいくつかの群があげられよう。
しかもそれらは,必ずしも単純な段階的経過をとるものではなく,各群の差異ならびに機制についても明らかでない点が多い。
掲載誌情報