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文献詳細

雑誌文献

胃と腸1巻3号

1966年06月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌〔3〕 座談会

上部胃癌(その1)

著者: 常岡健二1 芦沢真六2 石岡国春3 城所仂4 熊倉賢二5 村上忠重6 崎田隆夫7 竹本忠良8

所属機関: 1日医大内科 2東医大内科 3東北大山形内科 4東大分院外科 5癌研内科 6昭和大外科 7国立がんセンター内科 8東大中尾内科

ページ範囲:P.279 - P.288

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パネルの要旨

 司会(常岡) 今日は「上部胃癌」について,先日の消化器病学会パネルをふりかえっていろいろお話願いたいと存じます.まず,順序として芦沢先生から,パネルでお

話になった要旨を10分以内にお話願って,あとみなさんでいろいろ討議して頂きたいと思います.

 芦沢 上部冑ガンのパネルをやれといわれた時にまず老えたのですけれども,上部とはどこかということ.もう1つは,ガンは,早期ガンを含めて,ガンのカメラ像というのは大体みなゆきわたっていますので,上部でも撮れさえすれば大体診断がつくんじゃないかということで,まず2つを,条件よく―条件よくと一言でいうことは非常に問題があるのですけれども―上部をとにかく条件よく撮れば,上部にしろガンの診断は,いままでの得られた知識を振返って考えてみれば,割合に易しいんじゃないか.それでその撮り方を初めにお話したわけです.それからもう1つは場所の問題ですけれども,CMA分類がありますけれども,なにかやっていますうちに,fornixというものは,別の場所として,つまり病変の発生する際になにか特性があるんじゃないか,と申しますのは,わたしたちのところで経験したfornixの病変というのは,submucosal Tumorの大きいのが3例と,小さいのが1例.その他ガンにしても割合にrandwallが厚いというか,高いのが多いような感じでした.それにひきかえて体部になりますと,そういう特徴よりも,むしろえぐれる方の特徴が強く打出される.つまりfornixと体部では,盛り上りとえぐれという2つの差がありそうな感じがしてCMA分類に従わず,あえてfornixというところを別に打出して,そうして体部を上部,中部,下部と分けて,とりあえず胃上部という場合には,体上部とfornixというふうにしたわけです.大体そうしますと,CMA分類と一致いたします.そこで最後に,実験的になにかそういうことを証明できないかというのでやったのが,幽門腺領域に吉田肉腫を植えこみますと,植え方にこつがあるわけですがかならずつきます.その際に迷走神経を食道切端で切除しておきますと,その幽門腺に植えた吉田肉腫の上部への伸びが著しいような……それが分泌,運動その他なにに関係しているかはわかりませんけれども,そういうような傾向がみられます.そういうことを今後は考えに入れて,診断というものもやってゆかなければならないんじゃないか.場所による病変の現れ方の特殊性というようなものも,なにか考えられるんじゃないかというようなことをちっと感じましたので,それをお話したのです.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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