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文献詳細

雑誌文献

胃と腸1巻4号

1966年07月発行

技術解説

胃のレントゲン診断(その3)

著者: 市川平三郎1

所属機関: 1国立がんセンター集検部

ページ範囲:P.403 - P.408

文献概要

3.透視撮影の実技

 (2)四大撮影法の実技(続)

 b.二重造影像の撮影について

 美しい二重造影像を撮影するためには,適量の空気が胃内に存在することが必要となる.適量とは何かといえば,病変を最も美しく表現できるような量ということなのである.もっともこういったのではただ逆をいっただけで一向に面白くない.

 ところが実際は,病変の凹凸がはなはだしい症例の場合は比較的大量の空気を,また凹凸の程度の軽い症例の場合は,比較的少量の空気を必要とするのであるから,こういういい方が成り立つのかもしれない,それにしても,「はなはだしい」とか「比較的」とか,やっぱり,あまり科学的表現ではないということもいえるようである.胃の大きさに個人差があるために,なかなか数量的に表現し難いのではあるが,この際あえて数字を出してみると,癌でいえばBorrmannの分類の適用され得るような大きなものは,一般的にそうであるが,特に隆起とか陥凹の程度が10mmを超えるようなものは,比較的大量の空気すなわち,大体300cc以上の空気を注入しても,また場合によっては注入した方が,美しい像が得られるのであるが,それより陥凹の程度の少ないものでは,より少ない量の空気量がよいというのである.実は,もっとこまかい数字で表現したいのはやまやまだが,ここであまりこまかい数字にこだわると,例外が多すぎる話になってしまったり,いい過ぎるようなことになる危険がある.それよりも,一人の患者について色々な量の空気で撮影してみることが手っとり早いのである.そういう経験を少しすると,誤差範囲があんまり広いのに気がついて,あんまり数字にこだわらなくなるものなのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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