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文献紹介「Terminal Hemorrhagic Necrotizing Enteropathy(THNE)」
著者: 大木一郎12
所属機関: 1国立癌センター内科 2群大第一内科
ページ範囲:P.507 - P.507
文献購入ページに移動著者等は剖検時に腸間膜動脈の閉塞がないにもかかわらず広範囲な出血壊死を起した3症例を最近経験したので,これを臨床病理学的観点から検討し,Cleveland Clinic Hospitalの剖検例2,044例を調査したところ,ある基準を満足する臨床病理学的実体を取り扱かっていたことを知った.その基準に相当するものは2,044例中わずかに16例でその発生頻度は0.8%である.心不全や不整派などを持つ老人(平均67歳)に多く,男性は女性より多い(11:5).通常上腸間膜動脈の支配領域に広範囲な出血壊死が生じるが血管閉塞とは全く関係がない.しばしば持続的な低血圧症状(16例中13例)と急性腹部症状(腹痛5例,腹部膨満感4例,下痢4例,下血3例,圧痛3例)がみられる.神経体液的および免疫学的な機序により血管の機能的変化が起るものと考えられ,通常二次ショックに移行し死亡する.著者等はこの症候群をTHNEと名づけた.その典型例は偽膜性腸炎とは明かに異なり炎症性病変が少なく,また抗生物質の長期投与や外科的侵襲が背景にあることもない.16例中9例はTHNEの発生より72時間以内に死亡している.この事実から2つの疑問が生じる.
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