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文献詳細

雑誌文献

胃と腸1巻8号

1966年11月発行

文献概要

今月の主題 ポリープ〔2〕 症例

胃の衝突腫瘍

著者: 長洲光太郎1 石河利隆1 井磧進1

所属機関: 1関東逓信病院外科

ページ範囲:P.829 - P.833

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1.重複癌と衝突癌

 一般に癌は単発性であって,所々に同じ癌があらわれたものは転移と考えるのが普通である.稀に重複癌を見るが,広い統計からみてその頻度は全癌の2%以下と考えられる(第1表).ただ2%といえども,癌は外科で取扱う症例の中でもきわめて数の多い疾患であるから,いわゆる重複癌の経験は多くの外科医はいくつか持っているのは当然である.ごく最近私は明らかな三重癌(子宮の扁平上皮癌,胃の神経鞘肉腫と腺癌)の手術治験例を経験した.

 重複癌については一次的と二次的の二つを区別する.Billrothはすでに1889年にprimäre Multiplizitätについて正しい認識をもっていた.この一次的な多発重複癌では,同一人に,同時にあるいは極めて短時日の間にちがった構造の癌を見ることが必要な条件である.しかし,ある組織を基礎として癌が発生するときは,転移でなくても似た構造を示すであろうことは推定にかたくない.例えば胃癌の大部分が腺癌の多少修飾された形であるのは当然である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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