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胃細胞診(その2)―胃直視下細胞診
著者: 信田重光1 沢田好明1 滝田照二1 高村達1
所属機関: 1順天堂大学第一外科
ページ範囲:P.861 - P.866
文献購入ページに移動胃内腔より癌細胞や癌組織を検出して胃癌を診断しようとする考え方は,すでに19世紀中頃よりRosenbach(1882),Boas(1896)など,20世紀に入りMarini(1909)により報告されていた.しかし単一の遊離細胞の形態のみから癌を診断することが危険視されて,また胃内から直接癌組織をとり出すことが困難であったため,この分野の研究は,1940年頃まではほとんど不問に附されていた.1941年にPapanicolaouおよびTrautにより子宮癌の細胞学的診断法が確立され,さらにこの方法が胃癌の診断に応用されて以来,胃癌の細胞学的診断法は急速な進歩をみ,細胞採取の方法も,初期の空腹時胃液吸引法より,生食水洗滌法,蛋白融解酵素洗滌法,Abrasive Balloon法などが考案された.一方,胃内視鏡法(軟性,および硬性胃鏡法)の進歩に伴い,Kenamore(1940),Benedict(1948)によりそれぞれ直視下生検用胃鏡が考案され,またわが国でも常岡,川島,稲葉,信田らによりそれぞれ生検用の軟性・硬性胃鏡が発表されている.
1958年HirschowitzによりGastroduodenalfiberscopeが発表されて以来,胃内視鏡学は著しい進歩をみた.すなわち従来の軟性・硬性胃鏡に比して可撓性に豊むために,胃内観察における盲点が非常に少なくなり,また患者に対する苦痛が著しく減少し,したがって胃内視鏡検査の適応が著しく拡大された.
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