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今月の主題 胃粘膜下腫瘍 綜説
胃粘膜下腫瘍診断における細胞診の価値
著者: 奥井勝二1 庵原昭一1 岩瀬亀夫1 原久弥1 秋岡武承1 藤田昌宏1 千野宗之進1 白壁彦夫2 西沢護2 吉川保雄2
所属機関: 1千葉大学医学部綿貫外科 2千葉大学医学部三輪内科
ページ範囲:P.911 - P.918
文献購入ページに移動最近X線検査,内視鏡検査ならびに細胞診などの各種検査法の普及発達にともない,胃疾患の診断が急速に進歩した.すなわち早期胃癌は術前に診断されるようになり,鑑別疾患である胃粘膜下腫瘍なども容易に診断され,報告例も目立ってきた.昨年(昭和40年)秋札幌で開催された消化器病学会・内視鏡学会合同研究会では胃粘膜下腫瘍のテーマがとりあげられ,17題の演題が集まり,100例以上の症例が報告されたこともそのあらわれである.しかしながら小さい表面型早期胃癌ことにⅡaの確診はときに困難なことがあり,粘膜下腫瘍のある種のものはこれらとの鑑別に苦労する場合がある.かかるときには最近広く行なわれるようになった直視下生検ないし細胞診をぜひとも行なわなければならない.
胃粘膜下腫瘍とは胃の非上皮性良性腫瘍と理解されるが,現在一般的には副膵,好酸球肉芽腫も含められているので,われわれも広義に解釈して考察を加える.また最近細胞診の立場からすれば,癌細胞と肉腫細胞の鑑別もおおむね可能となったので14)15)16),粘膜下腫瘍の診断に際して,当然良性・悪性の鑑別が必要となるのでこれらについても言及する.
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