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文献詳細

雑誌文献

胃と腸10巻1号

1975年01月発行

胃と腸ノート

興味ある胃病変の病理解説(1)

著者: 下田忠和1 佐野量造1

所属機関: 1国立がんセンター病理部第1組織病理

ページ範囲:P.36 - P.36

文献概要

 症例1.60歳,男(国立がんセンター例)(0-12843)

 切除胃の肉眼像(Fig. 1)は胃角部前壁に肥厚した粘膜ヒダの集中が認められ,また後壁側からも粘膜ヒダの集中がうかがわれる.この後壁側のヒダの先端は明瞭なヤセを示し,小彎側のⅡc型の陥凹粘膜に連続している.しかし通常のⅡc型胃癌と異り幽門側ではその辺縁をふちどるように粘膜がわずかに隆起し,更に前壁では集中する粘膜ヒダがくびれを有する粘膜隆起すなわちⅡaの像に移行している.また一部では集中する粘膜ヒダの先端でヒダの融合するような所見を示している.この病変は潰瘍を有するⅡc型であるが,他方ではⅡaの隆起を示した早期胃癌で我々の提唱した早期胃癌の特殊型としてのⅡc+Ⅱa型に相当する.この肉眼所見をシェーマに示すとFig. 2のようになる.太い部分で描いた部分がⅡaに相当する.癌の拡がりは9.0×4.5cmである.その割面は2個のUl-Ⅱを中心として陥凹性病変(Ⅱc),その幽門側はⅡaの隆起を示している(Fig. 3).組織学的には大部分mの粘膜内癌で極くわずかに粘膜下へ浸潤した早期癌である.組織像はⅡcの陥凹部は分化した腺管腺癌で,これが漸次的にⅡa部の乳頭性腺管腺癌の像に移行し両者の間に相違はない(Fig. 4).リンパ節転移は認められなかった(0/43).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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