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文献詳細

雑誌文献

胃と腸10巻1号

1975年01月発行

文献概要

胃と腸ノート

肝悪性腫瘍の血管造影の意義とX線所見(2)

著者: 有山襄1 池延東男1 大橋計彦1

所属機関: 1順天堂大学医学部消化器内科

ページ範囲:P.50 - P.50

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 肝悪性腫瘍のほとんどは癌で,肝細胞に由来するhepatomaと肝内胆管上皮から発生するcholangioma,および両者の組織型が混在する混合型の3つがある.hepatomaは一般に血管に富み,組織学的にもsinusoidの数の増加と腔の拡張が著明であるが,cholangiomaはこれらの所見が乏しい.しかしhepatomaでも血管が豊富でないものがあり,木戸らの報告(Am. J. Roentg.113: 70~81,1971)によればhepatomaの組織像が未分化なものに多い.よく分化したhepatomaは定型的な血管造影像を示す.

 正常の肝ではsinusoidは門脈血75~80%,動脈血20~25%の割合で満たされるが,hepatomaでは動脈血が大部分を占めるので,血管の拡張と蛇行,動脈内の造影剤停滞が起る.したがって血管造影像では血管増生,異常血管の拡張,腫瘍濃染,動静脈shuntingが特徴的な所見としてみられる.図1はnoradrenalinを使用した肝動脈撮影で肝右葉に血管増生(↑印),異常血管の拡張(↑印)がみられ塊状型hepatomaと診断できる.図2はhepatomaの症例の腹腔動脈撮影の毛細管相で,肝全体に結節型の腫瘍濃染像が多発している.図3は塊状型のhepatomaの腫瘍濃染像(↑印)と動静脈shunting(↑印)がみられる.通常のshuntは動脈と門脈の間に生じるが,この例では動脈と肝静脈の間にshuntingがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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