文献詳細
今月の主題 胃粘膜―(1)早期胃癌の背景として
主題
早期胃癌の背景としての胃粘膜―内視鏡的立場より
著者: 木津稔1 藤原勝彦1 小林世美1 春日井達造1
所属機関: 1愛知県がんセンター第1内科
ページ範囲:P.61 - P.67
文献概要
すなわち,ある病変の鑑別診断をする場合,重要なのは通常その病変自身の持つ性質であり,その背景の胃粘膜像ではないと考えられる.例えば,潰瘍性病変が良性であるか,悪性であるか迷うことはしばしばあるが,病変の周辺粘膜が良・悪性の鑑別診断の根拠となることは,絶無ではないにしろ極めて稀であると考えられる.しかし,前述の疑問は依然として臨床医の頭の中にあり,明確でないにしても,やはり一つの結論を出しておく必要があるように思う.それでは早期癌の非癌部胃粘膜には内視鏡的に何か特徴があるのだろうか,それは早期癌の型によって異なるのか,あるいは組織型によるのか,そしてまた,良性疾患である胃潰瘍,ポリープのそれと異なるのであろうか,また進行癌と早期癌ではどうであろうかなど,これらの点に関して本院の早期癌症例をもとにし非癌部胃粘膜像を主に慢性胃炎の面から論じてみよう.
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