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文献詳細

雑誌文献

胃と腸10巻1号

1975年01月発行

文献概要

胃と腸ノート

消化器X線診断における被曝防護(1)

著者: 北畠隆1

所属機関: 1新潟大学医学部放射線科

ページ範囲:P.108 - P.108

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 X線診断は豊富な診断情報を提供するので臨床医学には必要欠くべからざるものである.現在はX線診断のない臨床医学を考えることはできない.ところが一方においてはX線のごとき電離放射線は人体に害のあることが知られており,直線的線量効果関係の仮説によって,診断X線も全く無害という訳にゆかず,できるだけ被曝を軽減する方策が考えられるようになった.消化器のX線診断は透視を伴い,また撮影枚数も多いので,他のX線検査に比べて患者の被曝線量が大きい.個人の線量が大きいだけでなく,わが国では消化管X線検査の頻度が大きいので,国民全体からみても大きな線量となる.実際にわが国における診断放射線による遺伝有意線量の半分は消化管検査から寄与されている.

 従来X線検査は過剰に無差別に行なわれる傾向がなくはなかった.しかしX線検査は,正しい適応のもとに適正な運用を計るべきで,それが診断情報の確保とともに患者の被曝軽減に直結するのである.現在わが国のすべてのX線検査が適正に運用されているとは限らず,これに対しては適切な指導や規制が必要である.消化管X線検査の適正な運用を計るには,検査の適応や臨床判断に関する部分と,装置の性能や技術的分野に関する因子がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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