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文献詳細

雑誌文献

胃と腸10巻11号

1975年11月発行

今月の主題 胃の良・悪性境界領域病変

主題

胃の良・悪性境界領域病変―私はこう思う

著者: 遠城寺宗知1 渡辺英伸1

所属機関: 1九州大学医学部病理学教室第2講座

ページ範囲:P.1443 - P.1447

文献概要

 異型性の腸型上皮から成る胃病巣は,1928年すでにKonjetznyが慢性胃炎の一つの所見として記載している.これは現在では上皮異型を示すが癌とは断定しがたく,“境界領域病変”としてわくづけられている.この病巣はポリープ状の隆起形態をとるものが多いが,胃固有の腺や腺窩上皮の過形成と広い間質とから成る過形成性ポリープとは病理組織学的にも異質のものとして,腺腫性ポリープ,腺腫,異型上皮巣(中村恭),Ⅱa-subtype(望月),Ⅲ型ポリープ(中村卓)など種々の名称で呼ばれている.

 この異型上皮病巣は隆起型ないしポリープ状形態をとるものが大部分であるが,他に平坦型,陥凹型,噴火口型を示し,必ずしもポリープ形態ばかりではない.諸家が異型上皮病巣とするこの病変は経過観察にても消失することがないといわれる1).われわれが長期観察を行いえた広基性隆起型の同病変2例のうち,7年間観察の1例では大きさに変動をみないが,9年観察の1例では最初12mm径のものが5~6年目で14mm径,7~9年目は17mm径に少しずつ増大した.そして全経過中3回の胃生検でいずれもGroup Ⅲで異型度に差は見られなかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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