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文献詳細

雑誌文献

胃と腸10巻11号

1975年11月発行

文献概要

症例

腸壁壊死,出血,潰瘍形成および穿孔など多彩な腸病変を呈した結節性動脈周囲炎(PN)の1例

著者: 関根一郎1 板倉英世1 田浦晴也2 正義之3

所属機関: 1長崎大学熱帯医学研究所病理学部門 2長崎大学医学部第2外科 3琉球大学保健学部病院第1外科

ページ範囲:P.1525 - P.1530

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 Kussmaul,Maierが1886年はじめて,結節性動脈周囲炎を報告して以来,本症は臨床的に,腹痛,食思不振,体重減少,嘔吐,腹部膨満,さらには下血などさまざまな腹部症状を伴うことが知られている1).また剖検では,胃腸管壁に多発性潰瘍がしばしば見いだされることが知られている.しかし臨床上,これらの腹部症状が重篤で外科手術の対象となる例は欧米では多数の報告1)~11)があるが,わが国ではきわめて少ない12)13)

 今回われわれはイレウス症状で発症し,2回の腸切除術後死亡,剖検しえた1例において,腸間膜,腸管にきわめて限局した本動脈炎の存在と,それのもたらす,腸壁壊死,潰瘍および穿孔,粘膜下の出血および線維化など多彩な腸管病変を観察したので,報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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