文献詳細
文献概要
今月の主題 全身性疾患と消化管 主題
Behçet病における腸管障害,とくに腸管型Behçet病(Entero-Behçet病)の研究
著者: 清水保1 荻野鉄人1
所属機関: 1帝京大学医学部第2内科
ページ範囲:P.1593 - P.1600
文献購入ページに移動本症がとくに近年本邦において屈指の難病とされる所以は,第2次大戦以後わが国に急増多発傾向を示し,その難治性と眼障害の予後の不良性のために,本邦においてこれに基因する失明者がとくに1959年以後急増傾向を示している点にある1).一方,本邦におけるBehçet病の観察症例の増加するに伴い,本症の臨床症候学的知見が急速に充実され,その全身病としての臨床像が明らかにされて来た.とくに注目される点は,高い失明率(約40~50%)の他に,生命の予後の不良化に直結する症状として,血管系,中枢神経系の侵襲と消化管とくに腸管病変の発現である.前2者の症状を主景とする病型は,それぞれvasculo-Behçet,neuro-Behçet症候群とされ,とくに男子患者に好発する(罹患男女比約8:1).腸管病変の発現については,すでにJ. Bφeら(1958)2)により指摘されているが,本邦では塚田ら(1964)3)によりIntestinal Behçet's Syndromeとして記載された.以来,Behçet病における消化管とくに腸管病変についての知見は,多数の観察症例に接する機会の多い本邦の研究者により報告されており4)~10),その腸管粘膜に発現する潰瘍形成の病理発生機序と,臨床的には潰瘍の穿孔による予後の重篤性が強調されている11)12).
掲載誌情報