文献詳細
文献概要
胃と腸ノート
Fundal gastritis
著者: 高瀬靖広1 竹本忠良1
所属機関: 1東京女子医大消化器病センター
ページ範囲:P.1628 - P.1628
文献購入ページに移動本来,fundal gastritisという表現は胃底腺領域の慢性胃炎という意味であるが,胃炎をKorpusgastritis,Antrumgastritisとする局所解剖学的分類から出発しているようである.しかしながら,これまで“体部胃炎”は稀であることが知られており3),さらに慢性胃炎の主体的変化と考えられている萎縮性胃炎については,胃全域からのいわばin vivoの組織診断といえる直視下生検による検索などから,幽門腺組織(偽幽門腺を含む)が口側に拡がる“Antralization”4)であるという考え方が支配的になってきたので,fundal gastritisという表現は次第に意味を失いつつあるといえる.しかし,萎縮性胃炎を“Antralization”と理解すると,幽門洞に萎縮性胃炎が認められる場合でも,認められない場合でも胃底腺領域に幽門腺組織が認められれば,ともに“Antralization”の範疇に入ることになるが,両者が慢性胃炎の病態の上でどういう位置にあるかは不明である.
掲載誌情報