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文献詳細

雑誌文献

胃と腸10巻12号

1975年12月発行

今月の主題 全身性疾患と消化管

症例

回腸末端部原発の細網肉腫による慢性腸重積症の1例

著者: 三宅祥三1 桐生恭好1 鈴木修1 安楽岡滋1 荒井正夫1 栗田和夫1 柏田欣一2 波多野録雄2

所属機関: 1日本鋼管病院内科 2日本鋼管病院外科

ページ範囲:P.1659 - P.1663

文献概要

症 例

 患 者:44歳 主婦

 主 訴:腹部膨満感および腹痛

 既応歴:若い頃,胸膜炎.15歳頃よりケロイド体質といわれ,某医科大学で治療をうけたことがある.

 現病歴:1973年12月中旬,右下腹部痛があり某外科医を訪れ,急性虫垂炎の診断のもとに12月17日,虫垂切除術を受け,23日退院した.退院後4日ほどしてから虫垂切除術術創瘢痕のやや上方で臍の右側が痛むようになり,同外科医の診察をうけたが異常はないといわれた.しかし腹痛は持続するので,別の外科医を訪れたところ,癒着のためかもしれないから精査するようすすめられ,1974年1月23日,本院を受診した.内科外来受診時の現症では,臍の右側に小手拳大の弾力性のある腫瘤を触知し,やや可動性を認めた.また腸のグル音はやや亢進していた.腸腫瘍ないし腸閉塞を疑ってただちに腹部単純X線写真を撮ったが腸閉塞を疑わせるガス像はなく,臨床症状でも腸閉塞を思わす症状に乏しかった.患者は元来便秘がちであるが,右下腹部痛が始まって以来ことに便秘が強く,4~7日に一度下痢様の柔らかい便が出る程度であった.食欲はあり,腹痛は食事とは無関係であった.腹痛は腹部膨満感から始まり,次第に右下腹部より膀の右側に拡がり,しばらくしてからゴロゴロと腹鳴を伴って腸が動くような感じがして腹痛は楽になるということであった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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