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文献詳細

雑誌文献

胃と腸10巻2号

1975年02月発行

文献概要

今月の主題 胃粘膜―(2)潰瘍,ポリープの背景として 主題

十二指腸潰瘍の背景としての胃粘膜―内視鏡的立場より

著者: 比企能樹1 楢本純一2 高橋俊毅3 石田秀夫4

所属機関: 1北里大学医学部外科・臨床検査部 2北里大学医学部内科 3北里大学医学部外科 4北里大学医学部臨床検査部

ページ範囲:P.201 - P.207

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 十二指腸潰瘍に関する研究は多方面から行なわれており,十二指腸潰瘍の際の胃粘膜に関する報告も,Konjetznyを始めとして諸家によりなされてきた.いずれも幽門前庭部と胃体部との胃炎の病型について述べられている.幽門前庭部ではビランの検出率は高く,古谷は組織学的に確かめて23.7%に,筆者は内視鏡的に52%に,そして梅津らは内視鏡的に50%の症例にみられるとし,しかも年代とは特に相関がみられない.すなわち胃ビランは,十二指腸潰瘍の胃粘膜にあらわれやすい病変であることは既に諸家によっても明らかにされたことである.他方,胃体部領域の粘膜に関する報告は少ないが,梅津らは十二指腸潰瘍症例の胃腺の萎縮の程度について,高齢者の胃体小彎でも萎縮は非常に軽いと述べ,Urbanは幽門腺領域,胃底腺領域の高さについて104例十二指腸潰瘍手術症例をもとに計測を行なって,同様の結果を報告している.

 さらに十二指腸潰瘍症例における胃粘膜の記載に関してSchindlerが内視鏡的にとらえ報告した肥厚性胃炎がある.これはその後も多くの学者によって,その存否に関しても議論のあるところである.すなわちWood,Henning,Palmerらによると,むしろ否定的な報告が多く,原らによれば組織学的検索により肥厚性胃炎像をみたものは1例もないと述べている.しかし現在までにはっきりいえることは,内視鏡的にSchindlerが述べた所見をわれわれが日常検査の所見として観察しうることは確かで,ことに十二指腸潰瘍症例にそのような所見があらわれる頻度が高いことも,諸家の報告によって明らかにされている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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