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文献詳細

雑誌文献

胃と腸10巻2号

1975年02月発行

研究

下部食道噴門癌の食道浸潤状況の診断に関する一考察―ことにX線撮影方法の工夫について

著者: 犬尾修三1 三戸康郎1 平野雅士2 杉町圭蔵2 中村輝久2 井口潔2

所属機関: 1福岡大学医学部第2外科 2九州大学医学部第2外科

ページ範囲:P.209 - P.217

文献概要

 いわゆるesophago-cardiac junction(以下ECJと略)に跨がる食道噴門癌では,食道浸潤の程度によっては,経腹的手術のみでは癌腫の充分な切除が不可能なことがあり,開胸開腹により切除しなければならない症例にしばしば遭遇する.このような症例の手術経路の適応を決定するに際しては,術中癌腫を切除食道断端に遺残させないようにするため,術前に食道浸潤先進部の詳細を充分に検討することがきわめて重要であるにもかかわらず,一般にX線上での食道浸潤そのものの撮影法に関する工夫はあまり見られないようである.これは,食道浸潤のみられるような食道噴門癌では,手術時いわゆる「手遅れ」の超進行癌が多いことから,主病巣の単純な描写だけで,X線上における食道浸潤そのものの撮影法にはあまり関心が寄せられなかったからであろう.

 一方,われわれの過去に切除された食道噴門癌の詳細な組織学的検索によると,食道浸潤先進部の肉眼的な形態と切除断端癌遺残率 ow(+)との間にきわめて密接な関係があることがわかり,また過去の症例のX線像をretrospectiveに検討してみると,その約半数に食道浸潤の型,食道浸潤の長さのX線上の読みの誤りがあることが明らかとなったことから,食道浸潤のX線撮影法にいま一歩の工夫が望ましいことが痛感された.そこでわれわれは下部食道の二重造影を中心とした食道胃入口部附近の撮影に工夫をこらし,食道浸潤の診断に良好な成績を納めているので,その概要を紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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