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文献詳細

雑誌文献

胃と腸10巻2号

1975年02月発行

文献概要

胃と腸ノート

消化器X線診断における被曝防護(2)

著者: 北畠隆1

所属機関: 1新潟大学医学部放射線科

ページ範囲:P.228 - P.228

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 消化器X線診断において患者被曝を左右する第2の重要因子は物理的技術的条件である.X線検査を行なう以上必ず若干の線量を患者に与えるが,無雑作に行なうと診断情報は増加しないのに被曝線量は何倍かに増加することがある.現在わが国では放射線医不足のため,X線検査の大部分は臨床各科の医師により行なわれており,消化器X線検査は内科医により行なわれている割合が大きい.これは現状ではやむをえぬことであるが,X線診断は単に診断情報を得ればよいのではなく,国民の被曝水準を少なくする配慮が必要であるので,X線検査に少しでも携わる医師は,電離放射線に関する物理学的および生物学的の基本的な知識が絶対に必要である.また一部の診療所では医師や放射線技師の資格を持たない事務職員などがX線装置を操作していると聞くが,これは法律に違反するのみでなく,実際に危険である.

 消化管のX線検査のためには少なくとも300mA型以上の容量の装置が適当である.それ以下の小容量の装置やポータブル装置は使用上も制限されるばかりでなく,放射線防護の点でも心もとない.診療所などで,多分安価であるという理由だろうと思うが,ポータブル装置を固定型装置の代りに用いているところがある.これは絶対にいけない.正規の300mA以上の固定型装置を設置すべきである.放射線診療は決して安くはあがらないのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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