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文献詳細

雑誌文献

胃と腸10巻3号

1975年03月発行

文献概要

症例

胃良性ポリープの癌化の1例―同一胃内に見出された3個のポリープ癌とそのポリープの特異な組織像について

著者: 武藤徹一郎1 島津久明1 小堀鷗一郎1 安達秀治1 草間悟1 石川浩一1 奥山山治2 喜納勇3 佐々英達3

所属機関: 1東京大学医学部第1外科 2東京大学医学部老人科 3東京大学医学部病理学科

ページ範囲:P.341 - P.346

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 胃のhyperplastic polypの癌化の問題は従来より好んで取り上げられた研究課題の一つであった.その研究の歴史をふり返ってみると,胃ポリープの癌化として隆起性病変を一把ひとからげに扱い,癌化率が高いと考えた時代から,胃の良性ポリープをfoveolar epitheliumに覆われた腺管の過形成からなる群hyperplastic polypと,異型性を伴う腺管から成り立った群,いわゆるⅡa-subtype,ATP(西欧ではadenoma,adenomatous polypと呼ぶ人が多い)との癌化を別々に取り扱うようになり,組織学的判定基準の変革および臨床例の長期観察から,両群のポリープとも癌化することはあってもその率は従来考えられていたよりずっと低いことがわかってきた.

 ここに報告する症例は5個の良性ポリープ中3個に癌化が認められ,しかもそのポリープはhyperplastic polypに類似してはいるが,厳密には同一範疇に属させ難いものである.今後胃ポリープの分類を考える上でも参考になると思われるので,組織像を中心に報告したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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