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研究
大腸ポリープの増殖と隆起
著者: 吉川宣輝1 安富正幸1
所属機関: 1大阪大学医学部第2外科教室
ページ範囲:P.391 - P.397
文献購入ページに移動 消化管ポリープ,特に結腸,直腸のポリープは癌化の可能性が高いということで重要視されているが,ポリープの増殖に関しては不明の点が多い.私どもはすでに本誌において,「大腸腫瘍の発生に関する研究」と題して,ラットの発癌実験から,①ポリープのprecursorである「異型上皮巣」を発見したこと,②癌のなかには前癌性病変(ポリープ)を経ることなく,de novoに発生するものが多数あるという2点について発表した.今回はこの異型上皮巣のオートラジオグラフから,細胞増殖と隆起の関係を検討したので追加発表する.
正常の大腸上皮細胞は腺窩の深部で分裂増殖するが,やがて機能的に分化しながら腺窩壁に沿って表層に移行し,最後には被蓋上皮から腸管内腔に脱落する.換言すれば,正常大腸では腺窩深部に増殖層があるとされている.1963年Coleらによると,増殖層が腺窩の表層にtranspositionすることが隆起する際の最初の機転だとされているが,私どもの研究では初期変化は,本来の増殖層である腺窩深部で開始すると考えられた.
正常の大腸上皮細胞は腺窩の深部で分裂増殖するが,やがて機能的に分化しながら腺窩壁に沿って表層に移行し,最後には被蓋上皮から腸管内腔に脱落する.換言すれば,正常大腸では腺窩深部に増殖層があるとされている.1963年Coleらによると,増殖層が腺窩の表層にtranspositionすることが隆起する際の最初の機転だとされているが,私どもの研究では初期変化は,本来の増殖層である腺窩深部で開始すると考えられた.
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