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文献詳細

雑誌文献

胃と腸10巻5号

1975年05月発行

胃と腸ノート

腹部単純撮影でとらえられる腹腔内病変(3)―Positive densityの読み

著者: 片山仁1

所属機関: 1順天堂大学医学部放射線科

ページ範囲:P.642 - P.642

文献概要

 1.腹水貯溜の場合

 び漫性の陰影増強があり腹部実質臓器の輪郭が不鮮明となる.その他,腸係蹄の解離像(腸係蹄の間に腹水がたまるため),背臥位における肝楔状陰影の消失,側腹壁の外方膨隆,側腹線(properitoneal fat line)の消失,側腹線と腸管の異常解離などがある.これらはascites signとして一括される.骨盤腔内に腹水が貯溜すると骨盤腔内に満月様,半月様,三日月様陰影を呈する.またretrovesical fossa(男性),retrouterine fossa(女性)に腹水が貯溜した場合,膀胱上外側に陽性陰影がみられ,その形よりdog ear signといわれる場合がある.腹水が腹腔内に全体的に貯溜した場合,背臥位像で腸管ガス像のcentralization(腸管が腹水中に浮いて中央に集る)があり,massによる腸管の圧排(lateralization)と対比される.また,単純撮影ではないが,腹腔動脈造影のhepatogram phaseで濃染された肝実質陰影と側腹壁の間の距離が腹水貯溜のため開くことはしばしば経験するところである(lateral liver border sign).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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